冬のジャケットを試着するとき、店内の暖房が効いた状態で、薄着のまま袖を通して鏡を見る男性が多い。
でも実際にそのジャケットを着る場面は、セーターやパーカーを一枚二枚重ねた上からだ。試着室での快適な着心地と、実際の冬の朝の着心地は、まったく別物になる。この差を計算に入れずに選んだジャケットが、着膨れの正体になっていることが多い。
冬のジャケットは、ほとんどの時間閉じられたまま
春のコートは、気温の変化に合わせて開けたり閉じたりを繰り返す。でも冬のジャケットは違う。寒さから身を守るために、一日のほとんどを閉じたまま過ごす。
これはつまり、閉じた状態のシルエットこそが、その日一日の自分の見え方そのものになるということだ。開けている時間がほとんどないなら、試着のときに確認すべきは、閉じた状態の完成度だけでいい。
「閉じた状態の完成度」で選ぶ、という発想
試着室でジッパーやボタンを全部閉じて、そのまま数分過ごしてみてほしい。肩の動き、腕の上げ下ろし、座ったときの窮屈さ。これを確認せずに、開けた状態や羽織っただけの印象で選ぶと、実際に着たときの不満につながりやすい。
着膨れの正体は、ジャケットではなく「中に着る前提」を考えていないこと
試着室の薄着のまま買うと、実際の重ね着で破綻する
冬のジャケットを選ぶとき、必ず実際に着る予定の重ね着を想定してほしい。セーター一枚なのか、パーカーとニットの二枚なのか。この想定によって、ちょうどいいサイズが変わってくる。
薄着のまま試着してジャストサイズを選ぶと、本番の重ね着をした瞬間にジッパーが閉まらなかったり、肩がつっぱったりする。逆に厚着を想定しすぎて大きめを選ぶと、薄着で過ごす暖かい日に全体がだぼついて見える。中間を狙うなら、普段のセーター一枚を着た状態で試着することを基準にするといい。
ダウンの膨らみは、体の凹凸を消してしまう
ダウンジャケットは着ればぽかぽかと暖かい一方で、生地が膨らんで体のラインを覆ってしまう。ウエストのくびれも、肩から腰にかけての自然な流れも、ダウンの膨らみの中に埋もれてしまうことがある。
これを避けるには、キルティングのステッチ幅が細かいものを選ぶといい。ステッチが細かいほど、ダウンの膨らみが均一に分散されて、むくむくと不格好に膨らむことを防いでくれる。ウエスト部分にドローコードや絞りが入っているデザインも、シルエットにメリハリを作ってくれる。
冬のジャケット、種類別の選び方
MA-1やボンバージャケットは、ボリュームが出やすい分、パンツをすっきりさせて全体のバランスを取るのが基本になる。ウールブルゾンは適度な張りがあってシルエットが崩れにくく、きれいめなパンツとの相性もいい。キルティングジャケットは軽さと防寒性のバランスが良く、インナーを選ばずに使いやすい。
レザージャケットを冬に着るなら、中にボリュームのあるニットを合わせることを想定して、少し余裕のあるサイズを選んでおくと安心だ。
女性が見た、冬のジャケットで印象に残った男性の話
真冬の夜、居酒屋の入り口で待ち合わせていたとき、コートの前を閉じたまま歩いてきた男性の姿が印象に残っている。
黒のウールブルゾンのジッパーを首元まで上げていて、その隙間からグレーのタートルネックがちょろっと見えていた。それだけだったのに、寒い中でもちゃんと自分のコーデを持っている人だ、という印象を受けた。閉じたままのシンプルなシルエットだったからこそ、その一点のグレーが際立って見えた。
店に入ってジャケットを脱いだあとも、中のニットとパンツのバランスが崩れていなかった。閉じているときも、開けたあとも、どちらの状態でもちゃんと成立していた。
「V字」の中身が、冬のジャケットで唯一の個性発揮ゾーン
ジャケットを閉じて過ごす時間が長いほど、首元からのぞくV字の隙間が、その日のコーデの個性を発揮できるほぼ唯一の場所になる。
マフラーの色、タートルネックの色、シャツの襟の見せ方。このV字ゾーンに意識を向けているかどうかで、閉じたジャケット姿の印象が大きく変わる。ジャケットそのものはシンプルでも、この隙間に工夫があるだけで、コーデ全体に表情が生まれる。
冬のジャケットでやりがちな失敗
一番多いのが、店内の暖かさに合わせた薄着のまま試着して、サイズ感を決めてしまうこと。実際の重ね着を想定しないまま買うと、本番で着膨れするか、逆にきつくて動きにくいかのどちらかになりやすい。
もう一つは、閉じた状態を一度も確認せずに、羽織っただけの印象で選んでしまうこと。冬のジャケットは閉じて過ごす時間が長いからこそ、閉じた状態での完成度を必ず確認してから選んでほしい。
冬のジャケットが板についている男性の共通点
閉じている時間のほうが長いという前提で、ジャケットと向き合っている男性。
中に着るものを想定してサイズを選んで、V字の隙間に一点だけ工夫を入れている。その意識があるだけで、同じジャケットでも着膨れせず、コーデとして成立する。次にジャケットを試着するときは、普段のインナーを着た状態で、ジッパーを一番上まで閉じてみてほしい。そこに映る姿が、冬に一番長く見られている自分の姿だ。
