帽子ひとつで、その男性への印象が別次元に変わる瞬間
帽子をかぶっていた男性の話
先月の土曜日、表参道のカフェで友人と話していた時のこと。
テラス席に座っていた男性に、気づいたら視線が向いていた。ネイビーのバケットハットをさらっとかぶって、ホワイトのリネンシャツ、ベージュのテーパードパンツ、レザーサンダル。コーヒーを飲みながら静かにスマートフォンを見ているだけ。
友人が小声でつぶやいた。あの人の帽子、なんかいいよねって。
帽子というアイテムは、着けている人と着けていない人で、なぜこれほど印象が変わるのかとずっと不思議だった。コーデが急に完成するというか、その人の輪郭がはっきりするというか。うまく言語化できないけど、帽子があることでコーデがひとつの作品になる感覚がある。
帽子が似合わないと思っている男性への、最初の話
帽子は似合う人と似合わない人がいる、と思っている男性が多い。
違う。帽子が似合わないんじゃなくて、自分に合う帽子をまだ見つけていないだけ。顔の形、頭のサイズ、コーデの方向性、その三点に合った帽子を選べれば、ほとんどの人に帽子は似合う。
問題は選び方を知らないまま、なんとなく手に取った帽子を試着して「やっぱり似合わない」と諦めてしまうこと。正しい選び方を知るだけで、帽子への印象がまるっと変わる。
帽子の種類別、40代以上の男性に似合うもの
バケットハットが今の時代に最も使いやすい理由
今、男性の帽子として一番おすすめしたいのがバケットハット。
つばが全周にぐるっと回っていて、柔らかく頭にのっかる形。もともとはアウトドアや釣りの帽子だったけど、今はファッションアイテムとして完全に定着している。カジュアルすぎず、きれいめすぎない絶妙な中間地点にいるアイテムで、コーデに溶け込みやすい。
素材はコットンかリネン混が基本で、夏ならこの二択。秋冬はウール混やコーデュロイ素材のバケットハットがあって、季節感が自然と出る。カラーはベージュ、カーキ、ネイビー、ブラック。最初の一個はベージュかカーキから入ると、コーデへの馴染み方が一番自然。
バケットハットをさらっとかぶっている男性への女性の印象は、肩の力が抜けているのにちゃんと考えている人、という感じ。その絶妙な余裕感が、バケットハットというアイテムから生まれる。
キャップを40代以上がかぶる時の正解と失敗
ベースボールキャップは選び方と被り方を間違えると、休日のお父さんになってしまう。
40代以上がキャップをかぶる時、ロゴが大きいものとチームロゴのものは避けた方がいい。スポーツ観戦ならいいけど、タウンユースとして使うには主張が強すぎて、コーデとの方向性が合わないことが多い。
選ぶなら、ロゴなしか小さなワンポイントロゴのシンプルなもの。素材はコットンツイルかウール混。ストラクチャードより少し柔らかめのシルエットが40代の顔立ちには馴染みやすい。
かぶり方は深めがいい。浅くかぶると若者っぽさが出すぎて、40代だと少し浮いた印象になることがある。まっすぐか、ほんの少し前に傾けるくらいが自然。後ろにかぶるのは、コーデと顔立ちに相当な自信がある人だけに許される着こなし。
中折れハットという、大人だけに許された帽子
フェドーラや中折れハットは、かぶりこなせた時の圧倒的なかっこよさがある。
でも正直に言う。これは難易度が高い帽子で、コーデが整っていないまま被ると一気にコスプレになる。
中折れハットが似合う条件は、コーデが先に完成していること。コートかジャケットを羽織った状態で、シルエットが整っていて、靴が清潔で、その上から最後に乗せる帽子として機能する。コーデを先に作って、最後に乗せる意識でかぶれる人だけが中折れハットを使いこなせる。
ウールのフェルト素材かペーパー素材の軽いもの。カラーはブラック、チャコールグレー、ナチュラルベージュ。ブリムの幅は広すぎないものを選ぶと、日常使いとして成立しやすい。
ベレー帽が40代男性にひそかに似合う理由
ベレー帽って、男性がかぶるにはハードルが高いと思っている人が多いけど、実は40代以上の男性に特に似合いやすい帽子のひとつ。
なぜかというと、ベレー帽が持つヨーロッパのクラシックな雰囲気が、40代の落ち着きと年齢の重みと自然に共鳴するから。若い男性がかぶると少し気合いが入りすぎて見えることがあるのに、40代以上がかぶると知的で洗練された印象になる。
素材はウール100%かウール混。薄いものよりも程よい厚みがあるものが形が安定しやすい。かぶる位置は頭のやや後ろ側に乗せるイメージで、正面にまっすぐかぶると制服みたいになってしまう。少しだけ後ろに引いて、斜めにかぶるくらいのニュアンスが大人っぽい。
秋冬のコーデにチェスターコートかジャケットを合わせて、ベレー帽を乗せる。あのコーデが街で決まっていると、思わず足が止まる。
ニット帽はシンプルなものだけが許される
冬のニット帽、選び方と被り方でかっこよさが全然変わる。
ロゴやデザインが複雑なニット帽は、コーデの中でニット帽だけが主張してしまってちぐはぐになることが多い。シンプルな無地のニット帽か、小さなワンポイントのものを選ぶこと。
素材はウールかカシミヤ混。安いアクリル100%のニット帽は表面の毛羽立ちが出やすくて、近くで見た時に清潔感が落ちてしまう。ウールかカシミヤ混を選ぶだけで、かぶった時の見え方が全然変わる。
かぶり方は深めに。頭の上にちょこんと乗っかっているニット帽は、バランスが悪くてコーデ全体が崩れる。眉毛の上あたりまでしっかりかぶることで、ニット帽がコーデに溶け込む。
帽子とコーデの合わせ方
帽子の色を靴かバッグと揃えると、コーデが整う
帽子の色選びで迷った時の基本ルール。靴かバッグの色と揃えること。
ベージュのバケットハットなら足元もキャメルかベージュ系のシューズ。ブラックのキャップなら靴もブラック系。ネイビーのキャップならネイビーかダークブラウンの靴。上から下まで色が繋がることで、帽子がコーデの一部として自然に機能する。
帽子だけが浮いて見えるコーデは、ほとんどの場合帽子の色と他のアイテムの色が繋がっていない状態。靴との色の橋渡しをするだけで、帽子の居場所がコーデの中に生まれる。
カジュアルコーデへの帽子の合わせ方
デニムとTシャツのカジュアルコーデにバケットハットかキャップを合わせると、コーデが一気に完成する。
白Tシャツ、インディゴデニム、ホワイトスニーカーというシンプルな三点に、ベージュのバケットハットを乗せる。その一点で、なんとなくTシャツとデニムを着ているだけの状態から、コーデとして考えられている状態に変わる。帽子が持つコーデ完成の力は、他のアイテムにはないものがある。
リネンシャツのカジュアルコーデにバケットハットを合わせると、夏らしさと大人の余裕が同時に出る。特にリゾートや海の近く、あるいは夏の都市カジュアルとして、リネンシャツ×バケットハットは鉄板の組み合わせ。
きれいめコーデに帽子を合わせる上級者の着こなし
ジャケットやコートのきれいめコーデに帽子を合わせるのは、難易度が上がるけどはまった時の完成度が最も高い。
チェスターコートに中折れハットかベレー帽。この組み合わせが決まっている男性を見ると、思わず足が止まる。コートの落ち着きと帽子の個性が合わさって、どちらかひとつでは出せない独特の存在感が生まれる。
ジャケットコーデにキャップを合わせるのは、カジュアルダウンとして機能することがあるけど、ジャケットの素材感とキャップの素材感がかなり違う場合はちぐはぐになりやすい。コットンやリネンの軽いジャケットならキャップも使いやすいけど、ウールのテーラードジャケットにキャップは距離がある組み合わせになる。
帽子をかぶる時に気をつけること
帽子をかぶる日は、髪型を諦めてはいけない
帽子をかぶると髪が崩れるから、どうせ見えないしと諦めている男性がいる。
女性は帽子を取った後の髪型まで見ている。これは本当のことで、帽子を外した瞬間にぺちゃんこになった髪が出てくると、がっかりする瞬間がある。屋外では帽子をかぶっていて見えないから気にならないけど、カフェや室内に入って帽子を取る場面で、帽子の下の状態が全部見えてしまう。
帽子をかぶる日でも、ある程度のセットをしてから被ること。あるいは帽子を取った後に手でさっと整えられるくらいのスタイリングをしておく。その一手間が、帽子を脱いだ後の印象を保ってくれる。
帽子のサイズが合っていないと、全部が崩れる
帽子のサイズが大きすぎると、頭に沈んでしまって顔が見えなくなる。小さすぎると頭の上に浮いた感じになって、コーデとして成立しない。
帽子は必ずサイズを確認して試着すること。自分の頭のサイズを測っておくと、オンラインで購入する時にも失敗が減る。日本人男性の平均的な頭囲は58センチ前後と言われているけど、個人差があるから必ず計測してから選んでほしい。
調整ストラップがついている帽子なら多少のサイズ調整ができるけど、フィット感は試着に勝るものはない。できれば実際に店頭で試着してから購入することをすすめる。
帽子を脱ぐタイミングを考えた上で選ぶ
帽子は脱ぐ場面を想定して選ぶことが大事。
つばの広い中折れハットは室内に入る時に脱ぐ場面が多くて、その動作が大げさになりやすい。屋外専用として使うか、脱ぎ着しやすいアイテムとして考えるか、選ぶ前に使用シーンをイメージしてほしい。
バケットハットやニット帽は比較的脱ぎ着がしやすくて、屋内でも脱いでバッグに入れやすい。キャップは折り畳めるタイプなら持ち運びやすいけど、ストラクチャードタイプは型崩れが起きやすい。
帽子をかぶりこなせるようになるためには
まず一個だけ、試してみることから始める
帽子に興味はあるけど、なんとなく踏み出せていない男性へ。
まず一個だけ買ってほしい。バケットハットのベージュかカーキ。2,000円から3,000円の価格帯でも、素材がコットンかリネン混のものは十分に使える。最初から高いものを買う必要はなくて、試しに一個かぶってみることの方がずっと大事。
最初はうまくかぶれなくても当然で、どこに置くか、どう傾けるか、コーデとどう合わせるかは、試しながら覚えていくもの。帽子をかぶる習慣をつけていくうちに、自分のかぶり方が見つかってくる。
帽子が似合う男性への、女性の正直な印象
帽子をさらっとかぶりこなしている男性への印象を正直に言うと、自分のスタイルを持っている人という感覚がある。
帽子って、かぶることへの意識がないとなかなか選ばないアイテム。だからこそ、帽子をコーデの一部として自然に使っている男性は、服装全体への意識が高い人だということが伝わってくる。