カジュアルコーデがうまい男性と、なんかダサい男性の差ってなんだろう、とずっと考えていた。
服の値段でも、ブランドでも、アイテムの数でもない。両者の違いをよくよく観察していると、一つのことに気づく。うまい男性は、余計なことをしていない。ダサく見える男性は、何かを足そうとしている。
カジュアルコーデの難しさは、きれいめやジャケパンと全然違うところにある。きちんとした服装には構造がある。ジャケットを羽織れば形になる、スラックスを履けばそれなりに見える。でもカジュアルにはその構造がない。全部、自分で作らないといけない。
カジュアルを「楽勝」だと思っている男性ほど失敗する理由
パーカーにジョガーパンツ、スニーカー。楽だし、動きやすいし、別にいいじゃん、という気持ちはわかる。でもその組み合わせで街に出たとき、女性がどう見ているかというと、服に着られている、という印象になりやすい。
カジュアルウェアはアイテム一つひとつに主張がないぶん、全体のバランスが取れていないとただ「部屋着で来た人」になってしまう。きれいめな服装にはそのリスクがない。ジャケットは着た瞬間にある種の威厳が生まれる。でもパーカーにはそれがない。パーカーをかっこよく着るためには、パーカーだけで成立させる力が必要になる。
カジュアルコーデは、誤魔化しが一切効かない
首まわりが伸びていても、シワが多くても、サイズが合っていなくても、きれいめな服装なら全体の格がカバーしてくれることがある。でもカジュアルには、そのセーフティネットがない。
よれた白TシャツはよれたままTシャツだし、サイズが合っていないデニムはどこまで行っても似合っていないデニムだ。カジュアルウェアは、着ている人間の素の状態を一番正直に映す服だと思う。だからこそ、誰でも気軽に着られるように見えて、実は一番センスが問われる。
垢抜けた男性のカジュアルコーデに共通すること
かっこいいカジュアルコーデを着ている男性をよく観察すると、何かを足してかっこよくしているんじゃなくて、不要なものがない状態になっている。
余計なアクセサリーがない。色が多すぎない。アイテムが主張しすぎていない。その結果として、着ている人間が前に出てくる。カジュアルコーデの完成度は足し算じゃなくて、何を省略できるかで決まる。この感覚を持っている男性と、まだ足し算をしている男性では、同じアイテムを着ても全然違う顔になる。
カジュアルコーデの骨格を作る3つのアイテム
難しいと言っておいてなんだけど、カジュアルコーデの土台は思ったよりシンプルだ。白Tシャツ、デニム、スニーカー。この3つの選び方を理解するだけで、カジュアルコーデの8割は完成する。
白Tシャツという、最強で最難関のアイテム
白Tシャツは、カジュアルコーデにおいて最強のアイテムであり同時に最も選び方が難しいアイテムだ。
何でも合う、というのは本当のこと。でも何でも合うぶん、白Tシャツそのものがそのままコーデの質感になる。薄くてよれている白Tと、適度な厚みとドレープがある白Tでは、同じデニムを合わせても全体の印象が別物になる。
白Tシャツを選ぶときに見るべきは、首のリブの太さと、生地の重量感。細いリブで生地に適度な厚みがあるものは、洗濯を繰り返してもシルエットが崩れにくい。首元がよれやすい安価なものは、買った直後より3ヶ月後にカジュアルコーデの質を落とす。白Tに少しだけ投資するのは、間違いじゃない。
デニムはシルエットだけで選ぶ
デニムの選択肢は多い。スキニー、スリム、ストレート、テーパード、ワイド。この中から何を選ぶかはスタイルや好みによるけれど、一つだけ絶対に守ってほしいことがある。シルエットが体に対してちゃんと機能しているものを選ぶこと。
ゆったりとしたシルエットが好きなら、それが全体で成立しているかを確認する。太すぎてただ大きいデニムと、意図を持って選んだワイドデニムは、シルエットの落ち方が全然違う。後者はウエスト周りから裾にかけて、重力に沿って自然に落ちている。前者はどこかよれて余っている。
ウォッシュの色は、濃いインディゴか、ほとんど白に近いくらいのヴィンテージウォッシュがカジュアルコーデでは使いやすい。中途半端な色落ちのものは、何と合わせても締まりにくい。
スニーカーの選択が、コーデの格を決める
カジュアルコーデにおいて、スニーカーは靴以上の役割を持っている。コーデ全体のトーンを決める、最後の一手になる。
白のローカットスニーカーは、カジュアルコーデに一番合わせやすい。ソールが薄く、デザインがシンプルなものほど、コーデを選ばずに機能する。厚底のデザインスニーカーや、ロゴが主張しているものは、それ自体に個性があるぶん合わせられるコーデが絞られる。
スニーカーは汚れが目立つ。特に白い靴底が黄ばんでいたり、アッパーに黒ずみがあったりすると、コーデ全体が一気に清潔感を失う。定期的にブラシで汚れを落とす習慣だけで、足元の印象は別物になる。
女性が実際に好印象を持ったカジュアルコーデの話
友人の誕生日パーティーに来た男性のコーデが、気づいたら何度か視線を引いていた。
オフホワイトの厚手コットンTシャツ、ダークインディゴのストレートデニム、白のシンプルなスニーカー。それだけ。時計もなし、アクセもなし。でも、部屋の中でぐっと存在感があった。
後から気づいたのは、デニムの裾を一回だけ細くロールアップしていたこと。その一折りで、足元が軽くなってスニーカーとの接続がきれいに見えていた。本人に意識があったかどうかはわからないけど、あの一折りがコーデのバランスを作っていた。ちょっとした操作を知っているかどうか、本当に差が出る。
手抜き感とこなれ感の、紙一重の差
カジュアルコーデには、こなれている、と、手抜きしている、という二つの評価がある。この二つは見た目が似ているようで、女性には割とはっきり区別できる。
手抜きのカジュアルは、素材がくたびれていて、サイズが合っていなくて、全体のバランスに考えた形跡がない。こなれたカジュアルは、素材のコンディションが保たれていて、サイズに意図があって、全体がゆるいのに締まって見える。
この差を生むのは、最終的に服への向き合い方の違いだと思う。楽をするためにカジュアルを選んでいる男性と、カジュアルというスタイルを選んでいる男性では、同じ服を着ても全然違う。
カジュアルコーデを台無しにするNG、やりがちなもの
ロゴが大きいアイテムを複数使うコーデは、カジュアルとして古く見えやすい。ブランドロゴは一点だけ、それもさりげないサイズのものにとどめる。胸と背中と腕に別々のロゴが並んでいると、服の主張が強くなりすぎて、着ている人間が見えなくなる。
色については、カジュアルでは三色以内というルールをきれいめ以上に徹底したほうがいい。きれいめな服装は素材感が色の多さをカバーしてくれることがあるけど、カジュアルはそのカバー力がない。Tシャツ・パンツ・靴・バッグで使う色を三色に絞るだけで、まとまりが全然変わる。
サイズ感のミスは、カジュアルでは致命傷になる
きれいめな服装は、少しサイズが合っていなくてもジャケットのシルエットが全体をカバーする。でもカジュアルには、そのカバーがない。
大きすぎるTシャツは、意図がわからないとただダボついた人に見える。小さすぎるデニムは、窮屈な印象になる。カジュアルのサイズ感は、一番シビアに選ぶべきだと思っている。オーバーサイズを選ぶなら、それがスタイルとして成立するサイズ感かどうかを試着で確認してから買う。
季節別カジュアルコーデ、発想の切り替え方
春夏カジュアルは「抜け感」を意図的に作る
春夏のカジュアルコーデは、どこかに抜けを作ることで季節感と軽さが出る。首元を開ける、袖をまくる、裾をロールアップする、素足でスニーカーを履く。どれか一つやるだけで、コーデがふっと軽くなる。
色はホワイト・オフホワイト・ライトブルー・ベージュ。この範囲で選ぶと、夏らしさが自然に出る。真っ黒のカジュアルコーデは夏でもかっこいいけど、暑苦しく見えるリスクがあるので素材選びをより慎重にする必要がある。
秋冬カジュアルはレイヤードでシルエットを作る
秋冬のカジュアルコーデは、重ね着の仕方がそのままスタイルになる。フランネルシャツをアウター代わりに羽織る、厚手のカーディガンをコートの代わりに使う、タートルネックをベースにしてその上にゆったりしたシャツを開けて羽織る。
秋冬はアイテムが増えるぶん、色を絞ることが春夏より重要になる。アースカラーを軸にして、全体を暖かみのあるトーンでまとめると季節感が出てコーデに統一感が生まれる。
カジュアルコーデが板についている男性に共通すること
カジュアルが似合う男性は、服に話しかけられていない。服に話しかけているのは、ロゴや派手なデザインに頼っているコーデのことで、着ている人間より服の主張が先に来る状態。
板についている男性は、どのアイテムも自分の延長として機能している。Tシャツは主張せず、デニムは自然に落ちて、スニーカーは地面とのつなぎ目として機能する。全部が静かに機能しているから、着ている人間の雰囲気だけが前に出る。
カジュアルコーデの到達点は、服を着ていることを忘れさせる着こなし、だと思う。それができている男性は、何を着ても、どこに行っても、なぜかかっこいい。
