夏のコーデを毎朝考えるのが、地味にしんどい。
暑いから薄着にしたい、でも薄着すぎると手抜きに見える。色を使いたいけど、合わせ方を間違えるとうるさくなる。なんかいつも同じコーデになる。その悩みをまるごと消す答えが一つある。夏のセットアップ。なのに、これをためらっている男性が異様に多い。
オフィス用でしょ、という思い込み。フォーマルすぎる、という先入観。でもその判断が、夏のコーデで一番かっこよくなれる選択肢を自分から手放している。
夏のセットアップをオフィス用だと思っている男性が、毎年損をしている
セットアップはジャケットとパンツのことだと思っている男性が多い。でも夏のセットアップは、リネンやコットンの軽い上下でいい。シャツジャケットとワイドパンツのセット、サマーニットとスラックスのセット、オープンカラーシャツとイージーパンツのセット。どれもセットアップと呼べる。
このカテゴリーに入れてほしいのは、上下を同じ素材・同じ色・同じトーンで揃えたもの全般ということ。そう考えると、夏のセットアップはカジュアルにもなれるし、きれいめにもなれるし、街にも使えるし、少しきちんとした場にも対応できる。一着の守備範囲が広すぎる。
セットアップだけが持つ、圧倒的な時短と完成度
朝、何を着るか考える時間がゼロになる。これがセットアップの一番の強みだと思う。
上と下が決まっているから、選択するのは靴とインナーだけ。この二点が決まれば、コーデが完成する。Tシャツと別のパンツを組み合わせて、色を合わせて、バランスを見て、というプロセスが全部省略される。それなのにコーデの完成度は、セパレートで何時間考えたものより上になることが多い。
なぜかというと、セットアップは最初から上下のバランスが設計されているから。デザイナーが意図して作った上下の組み合わせに、個人が毎朝考えた組み合わせが勝つのは難しい。
夏のセットアップを着ている男性が放つ余裕の正体
街で夏のセットアップを着ている男性を見ると、なぜか余裕があるように見える。これには理由がある。
コーデとして完成しているから、着ている本人に迷いがない。迷いがない人間は、所作まで落ち着いて見える。服が主張しすぎていないから、その人自身の雰囲気が前に出てくる。夏は特に、コーデがシンプルなほど人の顔と表情が目に入る。セットアップはその状態を自動的に作り出してくれる服だと思っている。
夏セットアップの素材選び、ここだけ外さなければ全部うまくいく
夏のセットアップは素材選びが9割、と言っても過言じゃない。どれだけデザインが好みでも、素材を間違えると暑く見えるし、着心地も悪い。
リネンセットアップが夏に最強な理由
リネンはさらっとした感触で、生地の間に空気が通りやすく、見た目にも涼しさが伝わる。着ていくうちに自然な皺が出るけど、それがリネンのリラックス感として機能する。よれているんじゃなくて、こなれている、に見える。この差がリネンの面白いところ。
リネンセットアップを選ぶなら、色はベージュ・オフホワイト・カーキ・サックスブルー。これらの色はリネンの素材感と相性が良く、夏の光の中でふわりとした柔らかさが出る。真っ白のリネンは透けやすいので、インナーとの関係に注意が必要。
ポリエステル混のセットアップが夏に向かない理由
安価なセットアップに多いポリエステル高配合の生地は、見た目に光沢が出やすくて安っぽく見えることがある。それ以上に、通気性が低くて夏は汗が逃げにくい。涼しそうに見えるのに、着ていると蒸れる、というのは大体ポリエステル高配合が原因。
コットン・リネン・レーヨンの比率が高いものを選ぶと、見た目と着心地が両立しやすい。レーヨンはやわらかいドレープが出て、ウエスト周りが自然に落ちるシルエットになる。ただ洗濯で縮みやすいので、洗濯表示は必ず確認する。
女性が実際に目を止めた夏セットアップの話
先日、ランチに出た路地で、すれ違った男性のことをまだ覚えている。
くすんだグリーンのリネンセットアップに、白のVネックインナー、スリッポンのレザーシューズ。それだけ。日差しが強い中を歩いていて、でも涼しそうで、全然暑苦しくなかった。コーデが静かで、ざわつかなかった。(静かなコーデって、なんでこんなにかっこいいんだろう)と、路地を曲がってからも少し考えていた。
あのコーデの良さは、引いている部分にあったと思う。派手さゼロ。主張ゼロ。なのに人の目に残る。それがセットアップの持つ不思議な力だ。
夏のセットアップ、インナーの色が全部を決める
セットアップの印象を左右する最後の決め手がインナーの色。ここに無頓着な男性が驚くほど多い。
ベージュのセットアップに白インナーは、最もクリーンでまとまりやすい組み合わせ。白ではなくオフホワイトにすると、全体が少し柔らかくなる。黒のインナーを入れると、セットアップが急に引き締まって大人っぽくなる。グレーは無難だけど、コーデがぼんやりしやすい。
インナーを首元から見せる、タックインする、裾を出す、この処理によってもコーデの印象が変わる。タックインすると腰の位置が上がってスタイルよく見える。裾を出すとゆったりとしたリラックス感が出る。どちらが正解じゃなくて、セットアップのシルエットに合った選択をすること。
靴一足でセットアップが完成する
夏のセットアップを選んだら、靴だけ丁寧に選ぶ。それだけでコーデが完成する。
レザーのローファーはセットアップのきれいめさを底上げしてくれる。スリッポンタイプのスニーカーはカジュアルに落としてくれる。サンダルを合わせるなら、レザーフラットサンダルがセットアップの素材感と一番なじみやすい。
逆にごつっとしたスポーツサンダルやゴツいスニーカーは、セットアップの軽やかさと素材感に対してノイズになりやすい。足元がコーデと素材感でつながっているかどうか、選ぶ前に一度確認してほしい。
夏セットアップのカラー、選ぶときの判断基準
ベージュとオフホワイトが夏セットアップの最強色である理由
ベージュとオフホワイトのセットアップは、日本の夏の光の中で一番映える色だと思っている。強い日差しの下で白すぎると飛んでしまうし、濃い色は暑苦しく見える。ベージュとオフホワイトはその中間で、光を柔らかく受けながらシルエットが綺麗に見える。
合わせやすさも高くて、靴もインナーも色を選ばない。何を合わせても大きく外れないので、セットアップ初心者にも一番勧めやすい色。
挑戦色のセットアップを着こなすための唯一のルール
テラコッタ・オリーブ・ブルーグレー・くすんだピンク。夏にこういった挑戦色のセットアップを着こなしている男性は、女性から見てかなり印象に残る。かっこいい、というより、この人おもしろいな、という感覚に近い。
挑戦色を選んだなら、インナーと靴は限りなくシンプルにする。これが唯一のルール。白か黒のインナー、シンプルな白かベージュの靴。セットアップが主役で、それ以外は全部脇役に徹する。この割り切りができると、挑戦色のセットアップは大成功になる。
セットアップを崩して着るのは、本当に正解か
セットアップの上だけをジャケットとして単品で着たり、パンツだけを別のトップスと合わせたりする着方がある。汎用性を上げるための工夫として紹介されることが多いけど、個人的にはあまり勧めない。
なぜかというと、セットアップとして設計された上下は、一緒に着たときに一番シルエットが完成するから。上だけ別のパンツに合わせると、素材感や色のトーンがわずかにずれて、なんかちぐはぐ、になりやすい。買うときは汎用性を想像するけど、実際に崩して着ると思ったより難しい、というのがセットアップのあるある。
上下を一緒に着ること前提で選んだほうが、結果的に満足度が高くなる。セットアップは上下で一着、という感覚で選ぶのが正解だと思っている。
