きれいめカジュアルという言葉を聞いたとき、多くの男性がアイテムを思い浮かべる。
白シャツ、チノパン、ローファー。きれいめなアイテムを揃えれば、きれいめカジュアルになる。この発想でコーデを組んでいる男性が、きれいめカジュアルのスタイルからなぜか遠い場所に着地していることが多い。
きれいめカジュアルは、アイテムのカテゴリーではなく、コーデ全体から出る印象のことだ。白シャツを着ていてもきれいめカジュアルに見えない人がいて、デニムとTシャツだけできれいめカジュアルに見える人がいる。この差はアイテムではなく、清潔感・意図・余白の三つから来ている。
きれいめカジュアルを構成する3つの要素
清潔感という土台
きれいめカジュアルの一番の土台は、清潔感だ。当たり前に聞こえるかもしれないけど、清潔感はアイテムの選択よりも先にある条件だ。
服のコンディション、シルエットのよれ、素材の毛玉や汚れ。これらが一点でもあると、どれだけきれいめなアイテムを選んでも、全体の印象がカジュアル以下になる。きれいめカジュアルを目指すなら、まずすでに持っているアイテムのコンディションを整えることが先だ。新しいアイテムを買う前に、今持っている服を丁寧に整えることで、コーデの印象が劇的に変わる。
意図という骨格
きれいめカジュアルが成立しているコーデには、選んだ理由がある。なぜこの色、なぜこのシルエット、なぜこの組み合わせか。その理由が見えるコーデは、見ている人間に「この人はちゃんと考えている」という印象を与える。
逆に、なんとなく選んだアイテムが並んでいるコーデは、どれだけアイテム自体がきれいめでも、なんとなく感が漂う。きれいめカジュアルの骨格は意図にあって、意図があるコーデだけがきれいめカジュアルとして機能する。
余白という空気
きれいめカジュアルが完成しているコーデには、余白がある。服を詰め込みすぎていない、情報量が多すぎない、どこかに空いている空間がある状態だ。
アクセサリーを重ねすぎない、ロゴが多すぎない、色を使いすぎない。こざっぱりとした余白があることで、着ている人間の存在感が前に出てくる。きれいめカジュアルは服よりもその人が印象に残るスタイルで、余白がそれを可能にする。
きれいめとカジュアルを足し算している男性の誤解
きれいめカジュアルを目指している男性の多くが、きれいめなアイテムとカジュアルなアイテムを足し算している。白シャツ(きれいめ)にジーンズ(カジュアル)とブレザー(きれいめ)にスニーカー(カジュアル)。きれいめ要素とカジュアル要素を半々にすれば、その中間になると思っている。
でも足し算では、きれいめとカジュアルが混在するだけで、きれいめカジュアルという印象は生まれない。比率の問題ではなくて、統合の問題だ。アイテムの格を揃えることと、コーデとして一体感を持たせることが、きれいめカジュアルを成立させる。
女性が実際にきれいめカジュアルだと感じた男性の話
友人の誕生日パーティーで会った男性が、パーティーが終わって少し経ってからも印象に残っていた。
ライトグレーのミドルゲージニット、ダークインディゴのテーパードデニム、タンのレザースリッポン。それだけだった。アクセサリーなし、バッグはシンプルなキャンバストート。コーデに何も足されていなかったのに、すらっとした清潔感があった。
近くで話したとき気づいたのが、ニットの素材感と、デニムの色の深さと、靴の革の質感がそれぞれ独立してちゃんとしていたこと。アイテムが高かったかどうかはわからない。でも、一つひとつに手が入っていた。それがコーデ全体から出るきっぱりとした清潔感を作っていた。
あの男性のコーデをきれいめカジュアルだと感じた理由は、おしゃれをしようとしていた気配がなかったから。ただ自分に合う服を、清潔に、整えていた。その状態が、きれいめカジュアルの正体だと思う。
「おしゃれしている感」がない男性が一番きれいめカジュアル
きれいめカジュアルという印象は、コーデに力みがないときに生まれる。おしゃれに見せようという意図が見えると、その瞬間に「おしゃれに気を使っている人」に見えて、きれいめカジュアルから遠ざかる。
力みのないコーデは、迷いが少ないコーデでもある。自分に何が合うかを知っていて、それを清潔に整えて着ている男性は、おしゃれ感よりも自然体の格好良さが出る。その自然体が、きれいめカジュアルという印象を作る。
きれいめカジュアルの比率、きれいめ7・カジュアル3
きれいめカジュアルのコーデを作るとき、きれいめとカジュアルの比率を意識してほしい。きれいめ7割・カジュアル3割が、きれいめカジュアルとして成立しやすい比率だ。
半々にすると、どちらにも振り切れていなくてぼんやりした印象になる。カジュアル7・きれいめ3になると、カジュアルコーデの範囲に入ってしまう。きれいめ7・カジュアル3のバランスで、カジュアルの快適さを持ちながら、全体の印象がきれいめで着地する。
どこできれいめを作り、どこでカジュアルを出すか
きれいめを作る場所はトップスか靴のどちらかで固めると、全体が安定しやすい。トップスをシャツかきれいめなニットにすれば、ボトムスにデニムを入れても全体がきれいめカジュアルとして成立する。靴をローファーか革靴にすれば、上半身がカジュアルでも足元できれいめが作れる。
カジュアルを出す場所は一点か二点に絞る。デニム一点、スニーカー一点、カジュアルなバッグ一点。カジュアル要素が増えるほど、きれいめカジュアルからカジュアルコーデに近づいていく。
きれいめカジュアルの具体的なコーデ例
白シャツ×テーパードデニム×ローファーは、きれいめカジュアルの最もシンプルな答えだ。白シャツできれいめを作って、デニムでカジュアルを出して、ローファーで再びきれいめに戻す。この構造がきれいめカジュアルの基本形になる。シャツの素材感とデニムの色の深さにこだわるだけで、コーデの完成度が上がる。
ニット×スラックス×白スニーカーは、きれいめコーデに白スニーカーという一点のカジュアルを入れる組み合わせ。スラックスできれいめのベースを作って、そこに白スニーカーが入ることで軽さと今の空気感が生まれる。きれいめ8割・カジュアル2割に近い設計で、きれいめカジュアルの上品な側に位置する。
チノパン×きれいめシャツ×レザーシューズは、全体をマイルドに揃えた設計。チノパンはきれいめでもカジュアルでもある中間のアイテムで、シャツとレザーシューズの素材感できれいめに引き上げる。清潔感と自然体のバランスが取れた、毎日使いやすいきれいめカジュアルになる。
きれいめカジュアルでやりがちな失敗
一番多いのが、きれいめなアイテムを選んでコンディションを整えないパターン。よれたシャツ、毛玉のあるニット、汚れた靴。これらがあると、きれいめカジュアルではなく、単なる使い古したコーデになる。アイテムのきれいめより、コンディションのきれいめが先だ。
もう一つは、きれいめとカジュアルが素材感として喧嘩しているパターン。テーラードジャケット(きれいめ素材)にダメージデニム(ハードカジュアル)を合わせると、素材感の差が大きすぎてコーデが統合されない。きれいめとカジュアルを混ぜるなら、素材感の距離感を近くすること。ウールのニット(きれいめ寄り)とインディゴデニム(きれいめに近いカジュアル)のように、素材感の温度が近いもの同士を組み合わせる。
きれいめカジュアルが自然に見える男性の共通点
服に話しかけられていない状態で、服を着ている。
きれいめカジュアルが完成しているとき、コーデが主張していない。アイテムが静かに機能していて、着ている人間の自然体が前に出ている。その状態を言葉にすると、「この人、いつもこんな感じなんだろうな」という印象になる。
特別な場面のための服ではなくて、日常の延長としての服。清潔感と意図と余白が揃ったとき、きれいめカジュアルはその人のスタイルとして完成する。完成したスタイルは、着ていることを意識させない。
