40代になってファッションブランドを見直そうとする男性は多い。
でも多くの男性が確認しているのは、価格帯とデザインの好みだけだ。同じような価格で、同じようなアイテムを扱っているように見えるブランドが、実は全く違う顧客を思い浮かべて服を作っている。そのブランドが誰に向けて作られているかを見ないまま選ぶと、40代の体と生活にちゃんと合う服には、なかなかたどり着けない。
ブランドには、頭の中に思い描いている「顧客の年齢」がある
どんなブランドも、服を作るときに、頭の中に具体的な顧客像を思い描いている。その顧客が20代なのか40代なのかで、同じジャケットでも肩のゆとり、生地の選び方、色の抑え方がまったく変わってくる。
20代の顧客を想定しているブランドは、トレンドの回転を前提にした素材選びをする傾向がある。数シーズンで着倒すことを見越しているから、ストレッチ素材や化繊混紡が多くなる。40代の顧客を想定しているブランドは、長く着ることを前提にしているから、ウールやコットンなど経年変化を楽しめる天然素材への投資が厚くなる。
広告のモデルの年齢が、実は一番わかりやすいヒント
そのブランドが誰を思い浮かべているかを知る一番簡単な方法は、広告やルックブックに出てくるモデルの年齢を見ることだ。
同じアイテムでも、モデルがずっと20代前半で固定されているブランドは、フィット感やプロポーションもその体型に合わせて設計されている。40代の体で同じ服を着ると、どこかしっくりこない、むずむずするような違和感が残ることがある。モデルの年齢層が40代前後まで幅広いブランドは、その分だけ体型のバリエーションにも対応した設計になっていることが多い。
40代の体に「すぽっと」合うブランドの見つけ方
肩と胸まわりのゆとりが、年齢に合っているか
40代になると、20代の頃より肩や胸まわりに厚みが出てくることが多い。この変化に対応したパターンを持っているブランドかどうかは、試着してボタンを閉じたときの胸まわりの余裕でわかる。
窮屈でもなく、だぶついてもいない、体にすぽっと収まる感覚があるブランドは、40代の体型を前提にパターンを引いている可能性が高い。逆に、着るたびにどこかつっぱる感じがあるブランドは、もともと想定している顧客の体型が違うのかもしれない。
素材の選び方に、ブランドの本気度が出る
40代の顧客を大事にしているブランドは、素材への投資を惜しまない傾向がある。ウールの番手、コットンの密度、そういった数字に見えない部分に、そのブランドが顧客をどれだけ長く見ているかが表れる。
トレンドを追いかけるブランドは、シーズンごとに素材のグレードを落として価格を抑えることがある。40代向けのブランドは、逆に定番アイテムほど素材の質を高く保つ傾向にある。長く付き合うことを前提にした関係が、素材選びに表れている。
女性が見た、ブランドが「合っている」男性の話
会食の場で隣に座った40代くらいの男性の、ジャケットを脱いだときの所作が印象に残っている。
椅子の背にかけたジャケットが、まるでそこにあることが当然のように、すぽっと収まっていた。着ているときも、肩から胸にかけてのラインが窮屈さも余りもなく、その人の体にちょうど合っていた。ブランド名は聞かなかったけれど、その人の年齢や体型を、服がちゃんと理解しているんだろうな、という印象を持った。
「無理していない」服が、一番信頼できる
その男性の服装から伝わってきたのは、無理をしていない、という空気だった。トレンドを追いかけている様子もなく、かといって年齢に諦めている様子もなく、ただ自分の体にのびのびと合う服を選んでいる感じがした。
その自然さは、ブランドを深く理解して選んでいるからこそ出るものだと思う。
40代に向いているブランド、実際の名前
無印良品は、年齢やトレンドに関係なく着られる設計を意図的にしているブランドで、40代の日常着のベースとして信頼できる。
TAKEO KIKUCHIは、日本のブランドとして大人の男性を長く見てきた歴史があり、上品さとほどよい遊び心のバランスが40代の体型と気分に合いやすい。
Paul Smithは、クラシックな英国仕立てをベースにしながら、遊び心のあるディテールを持つブランドで、落ち着きと個性を両立したい40代に向いている。
Brunello CucinelliやLoro Pianaは、上質な天然素材と控えめなデザインを軸にしたイタリアのブランドで、成功した大人の男性が実際に選んでいることで知られている。価格は高いが、40代以降の投資として検討する価値がある。
40代のブランド選びでやりがちな失敗
一番多いのが、20代の頃から着ているブランドを、見直さずにそのまま使い続けること。ブランド自体は悪くなくても、そのブランドが想定している顧客が自分より若い層に移っていることに気づかないまま、なんとなく違和感を抱え続けている男性は多い。
もう一つは、価格の高さだけで大人向けだと判断してしまうこと。高価格帯でも、顧客層が若いブランドは存在する。価格ではなく、そのブランドが実際に誰を見て服を作っているかを確認することが、失敗を減らす一番の近道だ。
