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メンズのデニムは太もも基準で巻く。ロールアップは裾じゃない

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試着室の外で、彼の裾直しが延々と終わらなかった

買い物に付き合った日のことです。
デニムを試着した彼が、鏡の前でずっと裾をいじっていました。
巻いて、伸ばして、また巻いて。
店員さんが遠くから様子をうかがっているのが分かるくらいの時間。

何を悩んでいるのか聞いたら、いい感じにならない、と。
そりゃそうです。
彼が触っていたのは足首だけで、問題は太ももにあったから。

そのデニムは腰から膝までがゆったりした形でした。
上が太いのに、裾だけ細く上げていく。
逆三角形が下向きに刺さっているような、そんなシルエットになっていた。
足首をどういじっても、この構図は変わらないんですよ。

下半身は上から下へ、細くなっていくのが自然

脚って、太ももが一番太くて、膝、ふくらはぎ、足首と順に細くなります。
その流れに沿った服は、体に馴染んで見える。
逆らうと、どこかで違和感が出る。

ロールアップは足首の話に見えて、実は全体の流れを整える作業なんです。
太ももの太さを見ないまま裾だけ動かすから、いつまでも決まらない。

女の目は、太ももと足首の幅を無意識に比べている

測っているわけではありません。
ただ、上と下の落差が急すぎると、なんとなく不安定に見える。
反対に、落差がゆるやかだと、脚が長く感じられる。

これ、スカートやパンツを選ぶときに私たちが毎回やっていることでもあります。
だから男性の脚を見るときも、同じ物差しが勝手に働いてしまう。

太ももがゆったりしたデニムは、ほとんど巻かない

ここで大半の人が反対すると思います。
太いデニムこそ裾を上げて軽くするのが定番でしょ、と。
私は逆を推します。

ワイドやストレートは、二センチの浅い一回まで

腰から膝が太い一本は、裾も広いままのほうがきれいに落ちます。
上げたいなら、二センチくらいの浅い折りを一回。
くるぶしの骨が、ぎりぎり見えるか見えないか。

ここで四回も五回も巻くと、ふくらはぎの下に硬い輪ができます。
太ももはふわっとしているのに、足首だけ締まっている。
その落差が、脚の長さを途中で切ってしまうんです。

細身のデニムは、太く一回でしっかり折る

テーパードやスリムなら話は変わります。
すでに上から下へ細くなる流れがあるので、裾を四センチくらいで一度だけ折る。
布の量が少ないので、太く折っても輪になりません。

折り目の上端が、くるぶしの骨より下で終わるように調整する。
骨より上に来ると、脚が分断されます。
横から鏡で見て、骨と折り目の高さを確認する。それだけで決まる。

ふくらはぎの一番太い場所に、布を集めない

数字より大事な原則がひとつあります。

脚の最大幅の位置を、まず把握する

自分のふくらはぎで、一番太いところがどこにあるか。
膝下十センチくらいの人もいれば、もっと下の人もいます。
そこに折り返した布が重なると、その部分がさらに膨らむ。

逆に、その位置を避けて上か下で折れば、太さが強調されません。
脚が太いのを気にしている人ほど、細かく巻いて隠そうとするんですよ。
隠そうとした布が、そのまま体積になっている。

迷ったら、いっそ巻かないという選択

裾上げをして、丈をぴったりにしてしまう。
これが一番きれいに片づく方法です。
千円前後で頼めるし、朝の手間もゼロになる。

ロールアップは、丈が合っている一本に対して気分で足すもの。
丈の間違いを隠す道具として使うと、毎回この迷路に入ります。
私の弟は三年間その迷路にいました。折り目のところだけ色が濃く残って、結局買い替えることに…。

変わった友人と、私が余計なことを言った日

一回に減らしたら、脚の線が戻ってきた

学生時代の友人の彼が、脚の太さを気にしていました。
細く四回巻いて、なんとか誤魔化そうとしていたんです。
太く一回に変えてもらった日、写真を見返して私は声を上げた。

ふくらはぎのあたりに集まっていた布が消えて、脚の輪郭に縦の線が戻っていたんです。
本人が鏡を二度見していました。
こんな単純なことか、とつぶやいて、それから毎回そうしているらしい。

膝下まで上げさせて、作業着みたいにしてしまった

私の失敗も置いておきます。
海辺を歩く日、濡れるからと私が言ったんです。
もっと上げたら、と。
彼は素直に膝の下まで巻き上げました。

ふくらはぎが全部出て、布は膝下でぐるぐるの塊に。
遠くから戻ってくる姿を見て、私は口元を押さえた。
完全に、朝の漁港の人。
本人は涼しそうだったので何も言えず…その日の写真は一枚もありません(笑)
ふくらはぎの一番太い場所、そこを越えたら実用の領域です。

季節と天気で、巻くかどうかが変わる

気温が下がったら、素肌は引っ込める

風が冷たいと感じた日は、もう露出の季節ではありません。
十八度あたりを境に、足首の肌は涼しさではなく寒さの記号に変わります。

秋以降も巻きたいなら、靴下を少し厚めにして肌の面積を減らす。
くるぶしが半分隠れる位置なら、季節が変わっても不自然になりません。
無理してそう、と思われるのが一番もったいない。

雨の日は、折り返しが水を溜める箱になる

これは実際にやらかしました。
雨上がりの夜、細く三回巻いた裾に、跳ねた泥水が入り込んだんです。
折り返しの内側がポケットみたいになって、水が抜けない。

家に着くころには、そこだけ重く垂れ下がっていました。
天気の悪い日は素直に伸ばす。
巻くのは、乾いた日の贅沢だと思っています。

足元まで見て、はじめて完成する

左右の高さは、立った状態で合わせる

座って直すと、立ったときにずれます。
必ず立って、鏡の正面で高さを見る。
一センチの差でも、意外と目につくんですよ。

私は気づいてしまうタイプで、言うか迷って結局言えないまま一日過ごしたことがあります。
あの居心地の悪さ、たぶん相手は一生知らない。

裾と靴のあいだに、指一本ぶんの空気を

布が靴の上に乗ったままだと、上げた意味が薄れます。
指が一本入るくらいの空間があると、足元が軽く見える。

その隙間に見える靴下の色は、デニムか靴のどちらかに寄せる。
濃紺のデニムなら濃紺、白いスニーカーなら白。
そこで違う色が入ると、足首に横の線が一本増えます。

太もも、ふくらはぎ、足首、靴。
この四つを順番に見て、それから指で一度折り返す。
順番さえ守れば、鏡の前で悩む時間はほとんど要らなくなります。

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