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40代のアウターは丈で決まる。長いコートが老けさせる

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ロングコートを着た彼が、駅の階段で小さく見えた

十二月の夕方、待ち合わせで彼が改札から出てきたときのことです。
膝下まであるチェスターコートを着ていました。
生地はしっかりしていて、色も落ち着いた紺。
悪いところが見当たらない一着でした。

なのに、階段を降りてくる姿を見上げた瞬間、私の中で何かが引っかかった。

脚が、短く見えたんです。
コートの裾がふくらはぎの真ん中あたりで終わっていて、そこから下だけが露出している。
布に覆われた部分と、そうでない部分の比率。
上が長すぎて、下が余っていない。
この人、もっと背が高かったよね…
去年の記憶と、目の前の姿が噛み合いませんでした。

丈が長いほど、体は上下に分割される位置が下がる

アウターの裾の位置は、そのまま体を区切る線になります。
その線が低いほど、上半身の面積が大きく見える。
脚が始まる場所が、遅れて見えるんですよ。

若いときは、この分割に耐えられます。
姿勢がまっすぐで、体に張りがあるから。
四十代になると、背中が少し丸くなったり、腰の位置が下がったりする。
そこへ長い丈を重ねると、重力の方向に見た目が引っ張られる。

女が最初に測るのは、腰の位置

遠くから人を見るとき、私たちが無意識に探しているのは、体が上下に分かれる場所です。
そこが高い人は、背が高く見える。
実際の身長とは、あまり関係がない。

長いコートは、その分岐点を隠してしまいます。
どこで分かれているか分からないから、判断のしようがない。
結果として、全体がずんぐりした一つの塊として処理される。

四十代が選ぶべきは、腰骨で終わる短い丈

ここで大半の人が反対すると思います。
大人はロングコートでしょ、短いのは若者の服だ、と。
私は逆を推します。四十代こそ、腰で切れる丈。

裾が腰骨のあたりで終わると、脚が長く見える

コートの裾を、腰骨の少し下で止める。
すると、そこから下が全部脚として認識されます。
実際の脚の長さは変わっていないのに、見え方だけが変わる。

ブルゾン、ジャケット、短めのステンカラー。
このあたりが該当します。
四十代でこの丈を選ぶ人が少ないので、逆に目立つんですよ。良い意味で。

若作りに見えるかどうかは、丈ではなく素材で決まる

短い丈を避ける理由は、たいてい幼く見えることへの不安です。
その心配は、素材で解決できます。

ナイロンのつるっとしたブルゾンなら、たしかに軽い。
ウール混、コットンの厚手、起毛のあるもの。
生地に重みがあれば、短くても子どもっぽくなりません。
丈と素材は、別々に調整できる要素です。

どうしても長い丈を着たい日のために

ロングコートを全否定するつもりはありません。条件があるだけです。

中の丈を、必ず短くする

長いコートの下に、長いニットやシャツを着ると終わりです。
布が二重に垂れて、脚の位置がさらに下がる。

中に着るものは、腰骨で終わる長さに。
前を開けたときに、体の中央に縦の帯ができる。
その帯が、上半身を縦に分割してくれます。

足元を、細く軽くする

長いコートに厚底のスニーカーを合わせると、上も下も重くなります。
細身のパンツと、ソールの薄い靴。
下半身を軽くすることで、上の重さが相殺される。

裾から見える面積が少ないほど、そこは細く見えます。
ここを外すと、どれだけ良いコートでも成立しません。

丈を変えた同僚と、私が着せて失敗した一着

膝下から腰丈に替えて、五歳若返った先輩

前の職場に、冬はいつもロングコートの先輩がいました。
四十六歳。着ていたのは、たぶん十万円くらいのもの。
本人も気に入っていて、毎年それだけを着ていたんです。

話の流れで、短いブルゾンを一度試してみてほしいと伝えました。
ウール混の、腰で終わる丈。

翌週の朝、エレベーターで会ったとき。
隣にいた後輩が、小さく声を上げたんです。
背、高かったんですね、と。
先輩は照れていたけれど、そのあと三年、その丈しか着ていません。

厚手のダウンを勧めて、彼を四角くした

私の失敗も。
寒い日、彼に中綿のしっかり入ったダウンを勧めたことがあります。
暖かいから、という理由で。

着てもらって、外に出た瞬間。
私の視界の中で、彼が四角くなっていました。
肩から腰まで、幅がまったく変わらない。
くびれがゼロの箱。

暖かさは正義だと思っていたけれど、あの日は失敗でした。
中綿を選ぶなら、薄手で、腰にかけて細くなる形。
膨らむものは、四十代の体型では相当きつい。

色と、肩と、細部の詰め方

黒を減らして、濃紺かキャメルに

四十代の黒いアウターは、顔に影を作ります。
日光の下で肌が沈んで、疲れて見える。

濃紺、チャコール、キャメル、深いオリーブ。
このあたりに振ると、顔まわりの明るさが変わります。
とくにキャメルは、白髪が出はじめた人と相性がいい。
髪と色が地続きに見えて、白いものが浮かなくなります。

肩の縫い目の位置が、すべてを決める

アウターを試着したら、まず肩を見てください。
縫い目が肩先の骨に乗っているか。
そこから三センチ以上落ちていたら、大きすぎます。

中に着込むから、と大きめを買う人がいます。
それをやると、肩が落ちて、全体が崩れる。
一段階小さいものを選んで、中を薄くするほうがきれいに収まります。

袖丈は、手首の骨が隠れるところまで

袖が長いと、手が小さく見えて全体が幼くなります。
手首の骨が隠れて、手の甲にかからない長さ。

既製品で合わないなら、直しに出す。
袖丈の調整は、数千円でできます。
高いコートをそのまま着るより、そこそこのものを直したほうが、確実にきれいに見える。

アウターって、その季節ずっと着るものでしょ。
毎日、その一着で判断される。
腰で終わる丈のものを一着買って、次の冬に袖を通してみてください。
階段を降りてくる姿が、たぶん去年とは違って見えます。

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