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ポロシャツは襟が立つかで決まる、おしゃれに見せる本当の条件

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ハンガーに掛かった一枚を、私は元に戻した

夏のセール。母から、父のポロシャツを見繕ってきてほしいと頼まれて、売り場をうろうろしていました。
手に取った紺の一枚。値段は手頃、色もいい。
けれど、襟をつまんで持ち上げた瞬間、ぺらっと折れたんです。首の後ろに当たる部分が、力なく前へ倒れた。
指先で三回ほど立て直そうとして、諦めました。
(これ、洗ったら一発で終わるやつだ)
そのまま棚に戻して、隣の千円高い一枚を持ち上げたら、今度は襟がぴんと自分で立った。首の後ろにきちんと沿って、手を離しても倒れない。
その差だけで、私は迷わず後者を選びました。

ポロシャツをおしゃれに着たい人が探しているのは、たぶん色の合わせ方とか、今っぽいシルエットでしょ。ゴルフ場っぽく見えない着方、みたいな。
けれど分かれ道は、もっと手前にあります。
襟が自立するかどうか。それだけで、おしゃれかどうかの八割が決まる。百人中九十九人は生地やブランドを見て選んでいるけれど、私はここを譲りません。

倒れた襟は、顔まで一緒に下げる

ポロシャツって、顔の真下に襟があります。
そこがへたっていると、視線が首元で落ちる。肩のあたりに影ができて、なんとなく元気のない印象になる。
逆に襟が立っていると、顎から首、肩へと線が続く。首が長く見えるし、顔が引き上がって見えるんですよ。
女性が首元の開きにこだわるのと、たぶん同じ理屈です。顔の額縁みたいなものだから。

洗濯三回で答えが出る

店で立っていた襟が、家で洗ったら倒れる。これがいちばんよくある失敗。
理由は、襟の内側に芯が入っていないから。あるいは、編みの密度が低いから。
値段の差って、だいたいここに出ます。素材の名前よりも、襟の作りにお金がかかっているかどうか。
買う前に、店で襟を軽く握って、離してみてください。すっと戻るなら合格。もったりしたら、そのまま棚へ。

ボタンをどこまで開けるか問題

ここ、意見が割れるところですよね。全部閉める人、二つ開ける人。

一つ開けが、いちばん静か

全部閉めると、首が詰まって窮屈に見えます。制服っぽさが出る。
二つ開けると、胸元が広がりすぎて、開放的すぎる空気になる。胸毛が見えると、こちらの視線の置き場に困ることもあって(笑)。
一つだけ開ける。第一ボタンを外して、そこで止める。鎖骨の少し上に三角の隙間ができるくらい。
この位置だと、襟が自然に立ち上がります。閉めているときより、むしろきちんと見えるという不思議。

ボタンの色と素材も、地味に効く

プラスチックの安っぽい光り方をするボタンは、そこだけ浮きます。
貝ボタンや、マットな質感のもの。あるいは、生地と同系色で目立たないもの。
胸元は視線が集まる場所なので、光る点があるとそこに目が行ってしまう。誰も口には出さないけど、確実に見られています。

父が変わった夏の話

さっきのポロシャツを、父に渡したときのことです。
最初、いつもと違う、と少し不服そうでした。父はずっと、五枚千円くらいのものを着回してきた人。
それが二週間後、母から電話がありました。お父さん、あのシャツばっかり着てる、と。
帰省したときに見たら、確かに別人でした。
七十を過ぎた父の首が、まっすぐ見えたんです。いつも猫背で、首元がだらんとしていたのに。襟が立っているだけで、姿勢まで正されたみたいだった。
本人に理由を聞いたら、なんか、着ると背筋が伸びるんだよな、と。
胸のあたりが、じわっと熱くなりました。服が姿勢を作ることって、本当にあるんだと思う。
その後、父は自分でもう二枚買い足していました。人生で初めて、自分で服を選んだらしいです。

年齢が上がるほど、襟の効果は大きい

若い人は、首の皮膚が張っているので、多少襟が寝ていても持ちこたえます。
でも四十を過ぎると、首の前側が緩んでくる。顎の下のラインが変わってくる。
そこに倒れた襟が乗ると、緩みが強調されてしまうんですよ。立っている襟は、その部分をさりげなく隠してくれる。
若作りとは違う話です。今の自分を、いちばん元気に見せるという工夫。

サイズは、肩と袖丈で決める

ポロシャツのサイズ選びは、シャツやTシャツと基準が違います。

袖が肘に近づくと、部屋着になる

ポロシャツの袖丈って、意外とばらつきがあります。
長すぎると、腕の細い部分が隠れて、上半身が四角く重くなる。
上腕の真ん中あたり、力こぶの一番高いところで止まるくらい。ここだと二の腕がすっと見えて、清潔に映ります。
腕が太いのを気にして長めを選ぶ人がいるけど、逆効果です。隠すほど太く見える。細い部分を出したほうが、全体が締まって見える。

裾は、お尻にかからない

ポロシャツは元がスポーツ用なので、丈が長めに作られているものがあります。
お尻が半分隠れる丈だと、脚が短く見える。
腰骨のあたりで終わるくらい。パンツに入れるかどうか迷う長さがちょうどいい。
入れるかどうかで言えば、私は出す派です。入れると一気にきちんとしすぎて、休日の空気じゃなくなるので。ゴルフやテニスの場面は別として。

色の選び方は、肌との勝負

ポロシャツは顔に近いので、色が肌に直接影響します。

白は難しい、実は

清潔で無難と思われている白。
けれど、日焼けしていない肌に白を合わせると、顔色が飛んで見えることがあります。血色がないように映る。
少し黄みがかったオフホワイトや、生成りのほうが肌になじみます。
逆に、しっかり日焼けしている人は真っ白が映える。夏の後半のほうが似合うという、季節の中の季節がある。

紺、グレー、くすんだ緑

迷ったらこの三つ。
紺は顔を引き締めて、輪郭をはっきりさせる。
グレーは柔らかいけど、汗染みが目立つのが難点。夏場は濃いグレーのほうが安全です。
くすんだ緑は、意外と肌がきれいに見えます。日本人の肌の色と喧嘩しない。街で着ている人が少ないぶん、覚えてもらいやすいという利点も。
明るい赤やオレンジは、勇気がいります。似合う人は本当に似合うけど、顔立ちを選ぶ色なので。

ロゴと、それ以外

胸に入る小さな刺繍。あれをどう考えるか。

あってもいい、大きくなければ

胸の左に一センチ程度の刺繍。これは気になりません。むしろ、なにも入っていないと少し寂しく見えることもある。
問題は、それが五センチを超えたとき。あるいは、背中や袖にも入っているとき。
主張が増えるほど、着ている人ではなくシャツが前に出てきます。
四十を過ぎたら、シャツに語らせないほうがいい。これは前にも書いた気がするけど、何度でも言いたい。

無地の力を、もう一度

柄物のポロシャツは、当たり外れが激しいです。ボーダーは太さで印象が変わるし、細かい柄は近くで見ると賑やかすぎることがある。
無地の一枚を、質のいいもので持っておく。そのほうが結局、出番が多くなります。
着る回数で割れば、高い一枚のほうが安上がりだったりするんですよね。

洗い方で、寿命が二倍変わる

最後に、これだけは。

ハンガーの選び方が全部

針金の細いハンガーに掛けると、肩に山ができます。
その跡は、一度つくと戻らない。
肩に厚みのある、幅の広いハンガーを使ってください。数百円のもので十分。
それと、襟は必ず立てた状態で干す。倒したまま乾かすと、その形で固まってしまいます。

脱水は短く、乾燥機は避ける

ポロシャツの生地は編み物なので、強く回すと伸びます。
特に襟。脱水一分で十分。
乾燥機は、縮みと同時に襟の芯を傷めます。私は一度、お気に入りのポロシャツを縮ませたことがあって、取り出した瞬間の指の感触をまだ覚えています。ひやっとして、そのあと何も言えなくなった(泣)。

ポロシャツは、いちばん人柄が出る服だと思っています。
Tシャツほどラフじゃなく、シャツほど構えていない。その中間で、着ている人の丁寧さがそのまま出てしまう。
今日、クローゼットにあるポロシャツの襟を、一枚ずつ持ち上げてみてください。手を離した瞬間に立った一枚が、この夏の主役です。

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