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忘年会の服装メンズ編|女性の記憶に残るのは店内よりコート

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十二月の終電は、なぜかどの車両も焼き鳥の匂いがする。
つり革につかまる人たちのコートから、一年分の乾杯の名残が漂ってくるの。
その光景を眺めるたびに、私は思うんです。
忘年会の服装って、店の中より、外で決まっているんじゃないかって。

男性が忘年会の前に悩むのは、だいたい店内で着る服のほう。
スーツのままでいいのか、ニットに着替えるべきか。
でも女性の記憶に残るのは、駅前の集合と、解散の帰り道。
つまり、コートを着ている時間なんです。

忘年会の服装は、コートで決まる。
店内の服に悩む時間があったら、コート一着を整えたほうがずっと早い。
会社の忘年会を十回以上くぐり抜けてきた私が、ひそかに確信していること。

目次

忘年会の服装は、店の中よりコートで決まる

店内の男性は、だいたい同じ顔をしている

仕事帰りの忘年会を思い浮かべてみてください。
長いテーブルに、紺とグレーのスーツがずらりと並ぶ光景。
ネクタイをゆるめたシャツ姿まで、みんなそっくりなの(笑)
休日の忘年会でも、ニットにスラックスの男性が半分を占めていたりする。
店内の服で目立とうとしても、差はなかなかつかないんです。

ところが、お店の外では話が変わります。
コートは一人ひとり、形も色も年季の入り方もまるで違う。
くたびれたコートも、手入れの行き届いたコートも、冬の街灯の下だと隠しようがない。
忘年会でいちばん個性が出る服は、実はコートなのよね。

最初の5分と最後の5分、女性はコートしか見ていない

女性がコート姿の男性を見るのは、主に二つの場面です。
一つは、駅前やお店の前に集合する最初の5分。
もう一つは、解散して駅まで歩く最後の5分。
その時間、男性はずっとコートを着ているでしょ。
人の印象は、最初と最後で決まるとよく言われます。
忘年会でいえば、その最初と最後を担っているのがコートなの。

しかも忘年会は、職場の人のオフの顔を見られる年に一度の夜。
昼間はスーツしか知らなかった彼が、どんなコートを選ぶ人なのか。
女性は、そこからその人の休日の過ごし方まで、こっそり想像しているんです。

18時45分、駅前の集合はコートの見せ合い

スーツにくたびれたダウン、の先輩がいた年

数年前の忘年会、駅の改札前に集まったときのこと。
紺のスーツの上に、色のあせたダウンを羽織った男性がいたんです。
袖口は黒ずんで、胸のあたりから白い羽根がちょこんと飛び出している。
背中には、パソコンの入ったリュック。
(週末のキャンプ帰り…?)
仕事ができて頼れる先輩だったのに、その姿だけが妙に浮いて見えた。

隣にいた後輩の女の子が、私の耳もとでささやいた一言。
「なんか、もったいないですね」
その通りだった。
スーツの上に休日用のダウンを重ねると、仕事と休日がちぐはぐにぶつかってしまうの。
忘年会のコートは、中に着る服と同じ温度でそろえておきたいところ。

忘年会のコートは、チェスターかステンカラー

スーツで参加する忘年会なら、コートはチェスターかステンカラーが鉄板です。
チェスターは、ジャケットのような襟がついた、すっきりした形のコート。
スーツにも、休日のニットにも合わせられるので、一着あれば冬じゅう使いまわせます。
ステンカラーは、首元の襟が小さく立ち上がった、ビジネスでおなじみの形。
撥水する素材を選べば、師走の冷たい雨にも慌てずにすむの。

サイズは、ジャケットを着た上から羽織って、肩がつっぱらないものを。
袖は手首がすっぽり隠れる長さ、丈は膝のあたりまであると、ぐっと大人っぽく見える。
丈の短いコートからスーツの裾がはみ出すと、どうしても締まりがなくなるのよ。

ダウンで行くなら、細身でつやを抑えたものを

寒がりの男性に、ダウンをやめろとは言いません。
選ぶなら、黒かネイビーで、表面の光沢が控えめなものを。
キルティングのふくらみが小さいタイプなら、スーツの上でも着ぶくれしません。
もこもこにふくらんだ山登り用のダウンってさ、休日のためのものなの。
ひざ下まで届くロング丈も、居酒屋の狭い入り口では、ちょっと持て余すかも。
フードのファーが大きすぎるものも、店内では置き場所に困ってしまう。

色はネイビーかチャコール、マフラーは無地を一本

コートの色は、ネイビーかチャコールグレーがいちばん使いやすい。
黒も悪くないけれど、冬の夜はほかの人の黒いコートにまぎれてしまうの。
少し勇気があるなら、キャメルを。
暗い駅前で、キャメルのコートはそこだけぽっと明かりがともったように見える。
マフラーは、コートと同じ系統の色の無地を一本だけ。
巻き方は、首に一周させて前に垂らすくらいのシンプルさで十分です。
大きなチェック柄のマフラーをぐるぐる巻くと、顔まわりがにぎやかになりすぎるのよね。

19時、コートを脱いだら見えるもの

脱ぐ所作と、預けるまでの十秒

お店に入ってコートを脱ぐ瞬間も、女性はちゃんと見ています。
入り口で脱いで、袖を内側に入れるように縦に二つ折りにする。
それを腕にかけて席まで運ぶ男性は、それだけで品よく映るの。
ハンガーがあれば、肩の形に合わせてきちんと掛ける。
反対に、脱いだコートを椅子の背もたれにどさっと放る人もいます。
座敷の隅に積まれたコートの山に、自分のを投げこむ人も。
その十秒に、ものとの付き合い方がそのまま表れてしまうんです。

会社の忘年会なら、スーツのままでいい

仕事帰りに直行する会社の忘年会なら、スーツのままで問題ありません。
ただ、一日働いたスーツは、自分で感じるよりずっとくたびれて見えるもの。
昼休みに、ジャケットの肩とパンツのひざを軽くブラッシングしておくだけでも違います。
乾杯のあと、場がくだけてきたら、ネクタイを外してポケットにしまうのもあり。
第一ボタンを外した首元に、昼間とは違う顔がのぞく。
職場の女性は、その小さな変化にドキッとしてしまうことがあるんです。
シャツを替えられる人は、夕方にロッカーで新しい一枚に着替えておくと完璧。

休日の忘年会は、首元の詰まったニットで

週末に開かれる忘年会や、友人同士の集まりなら、私服で行くことになります。
冬の私服で頼りになるのは、首元の詰まったタートルネックやモックネックのニット。
モックネックは、タートルより首の折り返しが短い、すっきりしたタイプのこと。
コートを脱いだ瞬間も、首まわりが締まって見えるからきちんと感が残るの。
下はグレーのスラックスに、脱ぎ履きしやすいローファーを。
ひとつだけ注意したいのが、白いニット。
鍋や焼き鳥のたれは、乾杯の勢いで思った以上に跳ねるもの。
白い胸元に茶色い点々がついた瞬間、きれいめの装いが一気に台なしになってしまう。
鍋の忘年会には、多少跳ねても目立たない、濃い色のニットで挑んでね。

座敷の日は、脱ぎやすい靴と伸びるパンツ

忘年会のお店は、意外と座敷が多いもの。
靴を脱ぐ場所だとわかっていたら、ひもを何本も結ぶブーツは避けておいて。
帰りの玄関で、一人だけしゃがんでひもと格闘する姿。
みんなの視線を、一身に集める見せ場になっちゃうの(笑)
ローファーやサイドゴアのブーツなら、するっと脱いで、さっと履けます。
靴下は、穴や毛玉のない、パンツと同じ色のものを。
畳の上を歩く足元は、座っている女性の目線のすぐ先にあるんです。
パンツは、少し伸びるストレッチ素材だと、あぐらをかいてもお腹まわりが苦しくない。

21時、コートの山と煙のなかで起きていること

もつ鍋の匂いを連れて帰った、私のウールのコート

これは、私自身の苦い思い出です。
三年前の忘年会は、もつ鍋のお店の座敷でした。
ハンガーが足りなくて、みんなのコートは鍋のすぐ横に山積み。
私のグレーのウールコートも、その山のいちばん下に沈んでいたの。
帰りの電車で、ふわりと漂ってきたのは、にんにくとお出汁の湯気の匂い。
(え、これ、私のコートから…?)
隣の席の男性が、すっと半歩離れたのがわかりました。
首すじに、じわっと冷たい汗がにじむ。
翌朝になっても匂いは抜けず、結局そのままクリーニング屋さんへ直行(泣)
あの時ほど、コートの置き場所を真剣に考えたことはありません。

コートは、自分の手でハンガーに掛ける

煙と匂いからコートを守るには、置き場所がすべて。
ハンガーがあれば、鍋や網から離れた壁ぎわに、自分の手で掛ける。
焼き肉や鍋のお店には、コート用の袋を置いているところもあるので頼んでみて。
袋がなければ、表地を内側にしてたたんでおくだけでも、匂いのつき方がずいぶん変わるの。
帰ったら、すぐにクローゼットにしまわないこと。
一晩、風通しのいい場所に掛けて、洋服ブラシで毛並みに沿って払ってあげる。
マジで、それだけで翌朝の匂いがかなり和らぐから。
自分のコートを大事にしている男性は、隣の人のコートも雑には扱わないんだよね。

22時半、解散の帰り道に残るもの

コートの山から、彼女のぶんまで掘り出してくれた人

大学時代からの女友達が、去年の忘年会で好きな人を見つけた話。
会場は、焼き鳥の煙がもくもくと立ちこめる、駅前の大衆居酒屋。
解散の時間になると、みんな座敷の隅のコートの山に群がったそうです。
彼女のコートは山の底で、なかなか見つからない。
そのとき、隣の部署の男性が、壁ぎわのハンガーから自分のコートを外して、ひと言。
ベージュのやつですよね、とコートの山から彼女のぶんまで掘り出してくれたんだとか。
集合のときに見た彼女のコートを、ちゃんと覚えていたらしいの。

駅までの道、彼のネイビーのコートだけは、煙の匂いがほとんどしなかったらしい。
襟を立てて、マフラーを一周させる手つきが、やけにきれいだったって。
突然、彼女から付き合うことになったと電話が来たのは、年が明けた一月のこと。
電話口の声がうわずっていて、こっちまで頬がゆるんでしまった。
まさか、コートの山がキューピッドになるなんてね!

忘年会は、コートで一年を締めくくる夜

忘年会の服装で悩んだら、店の中の服より先に、コートを見直してみて。
くたびれていないか、サイズは合っているか、匂いは残っていないか。
中の服は、スーツでもニットでも、そこまで差はつきません。
差がつくのは、店の外の最初の5分と最後の5分。
そして、自分のコートをどう扱い、隣の人のコートにどう手を伸ばすか。
正直言って、女性が冬に好きになる瞬間って、たいていコートを着ているときなんです。

十二月の終電は、今年もきっと焼き鳥の匂いで満ちている。
その車両のどこかに、煙の匂いをまとっていないコートの人がいる。
来年は、私もコートを新調しようかな。

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