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冬の靴は暖かさで選ぶと失敗する|女が見る雨上がりの甲

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冬に足が冷えるのは、靴が薄いからじゃない

足が冷たい。だから厚い靴を買う。中綿の入ったやつを探す。
その発想、よくわかります。私も昔そうでした。
でも、冷えの正体は厚みじゃありません。水分です。

濡れた瞬間、どんな靴も冷蔵庫になる

水は空気より熱を奪う速度が段違いに速い。
靴の中が湿っていると、そこから体温がどんどん持っていかれます。
外から入った雨だけじゃなくて、自分の汗も同じ。一日歩けば、足はけっこう汗をかいています。
朝はぽかぽかしていたのに、夕方になると急に冷たくなる。あれは汗が冷えているんです。
だから、冬の靴で最初に見るべきは暖かさじゃなくて、濡れるか濡れないか、乾くか乾かないか。

女が見ているのは、つま先じゃなく甲の色ムラ

向かいから歩いてくる人の足元を見るとき、私の目が止まる場所。
甲の部分です。
雨や雪のあと、そこにまだらな染みが残っている靴がある。乾いたあとに、白い輪みたいな跡が浮いているもの。
革でもスエードでも、水が入った痕跡はそこに出ます。
本人は歩いているから見えない。座ったときか、すれ違うときにだけ見える場所なんですよね…。

十二月の横断歩道で、彼が止まった理由

二年前の十二月。知人と街に出た日のことです。
前の晩に雪がちらついて、路面がところどころ凍っていました。

一歩ごとに、かかとが滑っていた

横断歩道の白い部分で、彼の歩き方がおかしくなりました。
歩幅が急に小さくなって、膝が曲がって、腕が少し広がる。
一歩ごとに、かかとがわずかに後ろへ流れていたんです。
信号が点滅し始めて、それでも彼はスピードを上げられなかった。
私は先に渡りきって、振り返って待っていました。心臓が速くなっていたのを覚えています。手袋の中で、指をぎゅっと握っていた。
渡りきった彼は、笑って、こういう日はだめだね、と言いました。

靴底を見せてもらって、言葉が出なかった

カフェに入って、座ったときに靴を見せてもらいました。
底が、つるつるだったんです。
元は溝があったはずなのに、擦り減って平らになっていた。
三年履いているそうで、上の部分はまだきれいでした。革の色も悪くない。
上だけ見て判断していたんです。本人も、私も。
底は自分では見えません。だから、いつのまにか消えている。冬にそれをやると、命に関わる場面が出てきます。

冬の靴で見るべきは、三か所だけ

デザインの前に、この三つを確認してください。

靴底の溝の深さと向き

新品の靴底を、まず触ってみる。
溝が深くて、指が引っかかるくらいのものは冬に強い。
逆に、模様が浅くて表面がつるっとしているものは、濡れた路面で滑ります。
溝の向きも大事で、横向きの溝が入っているほうが、前後に滑りにくい。
ゴムの硬さも関係します。冬用に作られた底は、低温でも硬くなりにくいゴムを使っていることが多い。
店頭で底を押してみて、指が少し沈むくらいの柔らかさがあれば安心です。

縫い目から水が入るかどうか

革が防水でも、縫い目から水は入ります。
甲の部分に縫い目が多い靴は、雨の日に弱い。
一枚革で覆われているものや、縫い目にテープが貼ってあるものを選ぶと、浸水がぐっと減ります。
それと、靴紐を通す穴の周り。ここから入ってくることも多いので、雨の日用にはベルト式や履き口の高いものが向いています。

足首が隠れるかで、体感が変わる

くるぶしより上まである靴は、それだけで暖かい。
足首には太い血管が通っていて、ここが冷えると全身が冷えます。
逆に言うと、足首さえ覆えば、靴自体はそこまで厚くなくていい。
くるぶし丈のスニーカーで冬を過ごしている人は、そこに原因があることが多いです。
靴を替えなくても、丈の長い靴下で少し補えます。

種類別に、冬のどこで転ぶか

形ごとに弱点が違います。

レザーブーツは雨の日に弱い

革のブーツは冬の定番ですよね。暖かいし、格好もつく。
ただ、雨には強くありません。
濡れたまま放置すると、乾いたときに白い跡が残ります。革の中の油分と一緒に水が抜けて、そこだけ色が変わる。
濡れた日は、帰宅後すぐ乾いた布で水を拭く。新聞紙を丸めて中に入れる。ストーブの前には置かない。
この三つを守るだけで、五年は違います。

スエードは水を吸うと色が変わる

起毛した革は、雨の日にいちばん困ります。
水を吸った部分だけ濃くなって、乾いたあともまだらに残ることがある。
防水スプレーは必須です。履き下ろす前に一度、それから月に一度くらい。
それでも大雨の日は避けたほうがいい。晴れた日用と割り切ると、長くきれいに保てます。
毛が寝てしまったら、専用のブラシで起こす。これをやっている人の靴は、何年経っても新品みたいな表情をしています。

スニーカーで冬を越すなら条件がある

スニーカーで冬を過ごしたい人、多いですよね。私は反対しません。
条件は二つ。底に深い溝があること。生地が厚いか、防水加工がされていること。
布地の薄いスニーカーは、雨の日に水が染みます。染みたら一日中冷たい。
冬用に作られたモデルは、内側に起毛の裏地が入っていたり、防水膜が仕込まれていたりします。見た目は普通のスニーカーなのに、性能が全然違う。

防水と書かれていても、境目から入る

これ、知らない人が多い。
防水と表示されていても、それは素材の話であって、靴全体が水を通さないという意味ではありません。
履き口から入る水は防げない。深い水たまりに踏み込めば、上から入ります。
それと、防水の膜は経年で劣化します。二年、三年と履けば性能は落ちる。
表示を信じすぎて、水たまりに突っ込んでいく人を見ると、少しはらはらします。

靴を二足で回すようになった人の話

知人に、冬の靴をずっと一足で通していた男性がいます。
毎年、一冬でだめにしていたそうです。

一足を毎日履いた冬に起きたこと

彼の話が印象的でした。
毎日同じ靴を履いていた年、二月頃になると、朝履くときに内側がまだ湿っていたそうです。
湿ったまま履く、また汗をかく、乾く時間がない。この繰り返し。
三月になる頃には、中の布が黒ずんで、匂いも出ていた。
革も、内側から水分でやられていたそうです。表からは見えないところで、ゆっくり傷んでいく。

乾かす一日が、寿命を倍にする

翌年から、二足を交互に履くようにしたそうです。
片方を履いた日は、もう片方を玄関で休ませる。新聞紙を中に入れて、口を開けたまま。
それだけで、両方が三年以上もつようになった。
一足に予算を全部かけるより、そこそこのものを二足。冬は特にこの考え方が効きます。
靴を休ませるという発想、持っている人は本当に少ない。

靴下で挽回できる部分と、できない部分

靴を替えずに冷えを防ぎたい。その気持ちもわかります。

厚い靴下は、きつくすると逆効果

厚手の靴下を履いて、靴がきつくなる。これが一番だめ。
足を締めつけると血流が落ちて、かえって冷えます。
厚い靴下を使うなら、靴のサイズに余裕があることが前提。ぎゅうぎゅうに押し込んだ状態では、暖かくなるどころか悪化します。
指先が靴の中で少し動かせるくらいの余白。ここが確保できているか確認してください。

五本指と重ね履きの現実

五本指の靴下は、指のあいだの汗を吸ってくれます。湿気が減るぶん、冷えにくい。
その上から普通の靴下を重ねる人もいますよね。
効きます。ただ、これも靴に余裕がある場合だけ。
素材はウール混が扱いやすいです。綿だけだと汗を吸ったあと乾きません。
足の冷えは、保温よりも除湿。この順番で考えると、選ぶものが変わってきます。

春に片付ける前の三十分が、来年を決める

冬の靴を来年もきれいに履けるかどうかは、しまうときに決まります。
泥をブラシで落として、乾いた布で全体を拭く。革ならクリームを薄く。
中に丸めた紙を詰めて、形を保ったまま、風通しのいいところへ。箱に入れるなら、乾燥剤を一つ。
湿ったまましまうと、次の冬に出したとき、内側に白いものが浮いていることがあります。あれを見た朝の気分は、けっこう重いですよ。
今年の冬に履く靴を、今日一度ひっくり返してみてください。底の溝がどれだけ残っているか。そこに、買い替えるかどうかの答えが出ています。

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