小さいバッグは、買った人の三割が半年で使わなくなる
入らないからじゃない。開けるのが面倒だから
使わなくなる理由を、容量の不足だと思っている人が多い。
違います。
本当の理由は、開閉の回数。
ポケットなら、手を入れるだけ。バッグだと、ファスナーを開けて、中を見て、取り出して、閉める。
一日に十回、この動作が発生すると考えてみてください。改札、コンビニ、カフェ、電車の中。
面倒になるんです。だんだん、財布だけポケットに戻すようになる。気づいたらバッグは空っぽ。
そこから使わなくなるまで、あっという間。
女が見ているのは、手を入れたときの探し方
バッグを持っている男性を見ていて、私が一番気になるのは中の探し方です。
レジの前で、口を大きく開けて、中を覗き込んで、手を突っ込んでかき回す。
あの数秒が、意外と長く感じます。後ろに人が並んでいると、なおさら。
逆に、見ないまま手を入れて、すっと出す人。
同じバッグでも、印象がまるで違うんですよね。中身の配置が決まっている人は、それだけで落ち着いて見えます。
誕生日に贈って、一度も使われなかった話
これは私の失敗談です。書くのが少し恥ずかしいけれど。
何年か前、当時付き合っていた人の誕生日に、小さなショルダーバッグを贈りました。
ずっとポケットに全部詰め込む人で、パンツのラインが崩れているのが気になっていて。
包みを開けた瞬間の、あの一拍
渡したのは、レストランの席でした。
彼が包みを開けて、中身を見て、ありがとう、と言うまでに。
一拍、あったんです。
その一拍が何だったのか、その場ではわかりませんでした。私はグラスの底を見つめて、気づかないふりをしていた。
嬉しそうな顔はしてくれました。写真も撮った。
でも、あの間が、あとからずっと引っかかっていて。
三か月後、玄関の棚の上で埃をかぶっていた
彼の家に行ったとき、玄関の棚の上に置いてあるのを見つけました。
ストラップが丸められたまま、上に鍵が乗っていて。
新品の状態でした。使った形跡がない。
理由を聞いたら、素直に教えてくれました。持ち歩くものが決まっていなくて、結局ポケットのほうが早い、と。
バッグが悪かったわけじゃない。彼の生活に、それを開ける習慣がなかった。
今なら、渡す前に一緒に中身を決めればよかったと思います。プレゼントって、ものだけ渡しても使われないんですね。
使い続けられる人の条件は、生活側にある
バッグの性能より、持つ人の習慣のほうが影響します。
一日に何回開けるかを数えてみる
買う前に、一度だけやってみてほしいことがあります。
明日一日、ポケットから何かを出した回数を数える。
十回を超えるなら、開閉の少ない形を選んだほうがいい。マグネットで留まるタイプとか、蓋がかぶさるだけのものとか。
五回以下なら、ファスナーでも問題ありません。
この数字ひとつで、続くかどうかが決まると思っています。
開け口がひとつしかないものを選ぶ
仕切りが多いバッグは、便利そうに見えます。
実際は逆で、どこに入れたか忘れます。小さいバッグで三か所も四か所もポケットがあると、探す時間が増える。
メインがひとつ、あとは薄いカードポケットが一つあれば足ります。
迷わないことが、小さいバッグの最大の価値です。機能を足すほど、その価値が削られていく。
荷物が増える日をどう乗り切るか
小さいバッグの弱点は、突発的な荷物です。
折りたたみを一枚仕込んでおく
たたむと手のひらサイズになるエコバッグ。あれを一枚、中に入れておく。
買い物をした日も、書類を渡された日も、それで足ります。
薄いナイロンのものなら、ほとんど場所を取りません。
この一枚があるだけで、小さいバッグの許容範囲が二倍になります。
二つ持ちは、意外と自然に見える
リュックと小さいショルダーを同時に持つ。
やりすぎに見えると思われがちですけど、実際はそうでもありません。
リュックは背中、ショルダーは前。役割が分かれているので、見た目も破綻しない。
むしろ、リュックを下ろさずに財布が出せるので、動きが速くなります。
旅行のときにこれをやっている人を見ると、慣れているなと感じます。
合わせる服で、難易度が変わる
同じバッグでも、その日の服で見え方が変わります。
上着の前を閉めた日がいちばん難しい
コートやジャケットの前を閉めた上から斜めがけすると、布が引っぱられます。
胸のあたりに斜めのシワが寄って、上着の形が崩れる。
上着を着る日は、中に入れるか、片方の肩にかけるだけにする。
あるいは、上着の前を開けて、その内側にバッグを入れる。この持ち方が一番きれいに収まります。
無地の上に、細い線を一本
柄のあるシャツの上に太いストラップが乗ると、情報が多くなりすぎます。
無地の上に細いストラップ。この組み合わせが一番すっきり見える。
ストラップの色は、上に着ているものと近い色にすると溶けます。逆に、目立たせたいなら思い切って差をつける。
中途半端に近い色がいちばん浮くので、寄せるか離すか、どちらかに決めてください。
パンツのポケットを空にする
これを忘れている人が本当に多い。
バッグを持っているのに、ポケットにも物が入っている。
それだと、シルエットは崩れたままです。バッグを持った意味がない。
持つと決めたら、ポケットは完全に空に。スマホもそっちへ移す。
手ぶらに見える状態を作るのが目的なので、ここは徹底したほうがいい。
男性が小さいバッグを持つことへの、正直な感想
気にしている人が多そうなので、はっきり書きます。
むしろ好印象になる場面がある
女性っぽく見えるんじゃないか、と心配する人がいます。
私の感覚では、そう思ったことはほとんどありません。
むしろ、荷物がまとまっている人は生活が整って見える。
それに、一緒に歩いていて、相手の手が空いているのは地味に助かります。傘を持つときも、荷物を持ってくれるときも。
ポケットがぱんぱんの人と、小さいバッグの人。後者のほうが、静かに好感を持たれていると思います。
逆に浮くのは、サイズと体格が合っていないとき
違和感が出るのは、体格に対してバッグが小さすぎる場合。
背が高くて肩幅のある人が、極端に小さいものを持つと、バランスが崩れます。手のひらサイズのバッグが、おもちゃみたいに見えてしまう。
その場合は、少し縦長で厚みのないものを選ぶといい。面積を確保しつつ、かさばらない形です。
小柄な人なら、逆に小さいほうが馴染みます。自分の体を基準にサイズを決める。ここだけは、写真を見て決めないほうがいい。
使わなくなったら、手放していい
最後に。
買ったのに合わなかった。それは失敗じゃなくて、わかっただけ。
半年使わなかったバッグは、たぶんこの先も使いません。
持ち続けていると、見るたびに気分が沈みます。玄関の棚の上で埃をかぶっているあの感じ、私はもう見たくない。
誰かに譲るか、売るか。手放すと決めたほうが、次の一つを選ぶ目が澄みます。
